目次
外観検査とは
外観検査とは、製品や部品が正しい仕様や規格に沿って作られているかどうかを確認するために行われる検査のことで、品質管理の一環として重要な役割を果たしています。
検査項目は製品によって多岐にわたり、例えば、自動車部品の製造工程においては、塗装が均一であるか、傷やへこみがないか、表面が平滑であるかなどを確認するために外観検査が行われます。
そのほか、パッケージングされた製品のラベル位置や印字検査、成形品の汚れや形状、寸法検査など外観検査は様々な分野で広く行われています。
外観検査の手法としては人の目による「目視検査(官能検査)」と画像処理装置等の機械による「自動検査」の二種類あります。
いずれにしても、外観検査は欠陥や損傷の早期発見、不良品流出の防止、品質改善、安全性の確保に繋がり、顧客からの信頼、満足度の向上に寄与するものづくりには欠かせないプロセスです。
外観検査の手法
目視検査(官能検査)とは
人の目による検査手法のことで、検査対象物を肉眼で直接観察し、外観上の欠陥や異常を検出します。
視覚のほか、味覚、嗅覚、触覚、聴覚の五感を用いるため官能検査とも呼ばれます。
形状や素材などに依存せず、外観上の欠陥や異常を検出することができる柔軟性に優れた検査手法です。
また、専用の装置の導入やスペースの確保が必要ないため比較的低コストで運用可能です。
視覚のほか、味覚、嗅覚、触覚、聴覚の五感を用いるため官能検査とも呼ばれます。
形状や素材などに依存せず、外観上の欠陥や異常を検出することができる柔軟性に優れた検査手法です。
また、専用の装置の導入やスペースの確保が必要ないため比較的低コストで運用可能です。
一方で、検査員の主観的な判断に依存するため、検査員の経験や感覚によって結果が左右される、時間帯での結果が異なるなど、判断にばらつきが生じ一貫性に欠けることがあります。
その他、長時間の検査作業による集中力の低下、検出漏れや見逃し、判断ミスが生じる可能性もあります。
人員の確保や検査トレーニングにかかるコスト等も考慮しながら目視検査の効率性や一貫性を向上させるためには自動化や補助ツールの導入を検討をすることも重要です。
自動検査とは
画像処理やX線、超音波等の技術を用いて検査を機械で自動的に行う検査手法です。
目視検査における人の主観や人的要因を排除し、高速かつ正確な検査結果を得ることができます。
無人運転、24時間稼働が可能なため大量の製品や部品を迅速に検査できます。
また、検査データの記録・蓄積によりトレーサビリティの確保ができることで、不良品の特定や原因究明、品質管理の改善などが容易になります。
目視検査における人の主観や人的要因を排除し、高速かつ正確な検査結果を得ることができます。
無人運転、24時間稼働が可能なため大量の製品や部品を迅速に検査できます。
また、検査データの記録・蓄積によりトレーサビリティの確保ができることで、不良品の特定や原因究明、品質管理の改善などが容易になります。
一方で、自動化するためには検査手法の開発や設備の導入に高い初期投資が必要な可能性があります。
また、製品や部品の多様性(多品種・小ロット製品)に対応するために段取り替えや複数の検査システムの導入が必要となる可能性もあります。
しかしながら、より正確な検査や品質向上、競争力の強化を重視する場合、自動検査システムの導入は非常に効果的です。
外観検査の自動化
外観検査装置とは
人が目視で外観検査していたものをカメラや画像処理装置に置き換え機械化し、自動で製品の良否判定を可能にする装置を外観検査装置と言います。
外観検査装置の基本構成は人の目の代わりとなる「カメラ・照明」、脳の代わりとなる「画像処理装置」です。
これらに判定結果の記録装置(NAS)や制御装置(PLC)、製品を検査装置へ搬送・供給するためのローダーやパーツフィーダーなどを組み合わせシステムアップします。
オフラインで省スペースな卓上タイプの検査装置やインラインで検査~NG振分まで全自動で可能にする装置など、検査用途や運用スタイルによって様々な種類があります。
<外観検査装置の種類と特徴>
オフライン検査 | インライン検査 | |
メリット | ・イニシャルコストを抑制できる ・精密な検査がしやすい ・抜き取り検査が可能 | ・生産ラインに組み込むため検査スピードが速い ・自動化により人件費を大きく削減できる ・全数検査が可能 |
デメリット | ・全数検査に不向き ・目視検査では人によりバラつきが生じる ・人件費がかかる | ・設計に時間がかかる ・ラインに設置するため手間がかかる ・専用装置となると高額になりがち |
外観検査ロボットとは
外観検査ロボットとは、画像処理装置と汎用ロボットを組合わせ外観検査用にシステムアップしたロボットのことです。
主に製品の搬送はロボットが行いカメラ等の撮像部は固定する方式と、製品は固定しロボットにカメラ等の撮像部を組込む方式があります。
メリット | デメリット |
・多関節ロボットでは様々な角度の検査構築が可能 ・多面体、多品種、大型ワークなどにも対応できる ・協働ロボットなら省スペースで運用可能 | ・産業用ロボットは安全柵必須でスペースと費用がかかる ・協働ロボットは可搬重量が少ないものが多く、スピードも遅い ・多品種の場合、画像処理設定に加えロボットティーチングにも 時間とコストがかかる |
<撮像部固定式>
<製品固定式>
固定されたカメラに対しロボットが製品を把持し
検査したい面をカメラに向けて検査を行う
固定された製品に対しカメラと一体となったロボットが
製品上を移動しながら検査を行う
関連製品
ルールベース外観検査とAI外観検査
ルールベースによる外観検査
外観検査を行う上ではルールベースによる画像処理設定が一般的です。
目視検査における検査基準(傷の大きさや色の濃さなど)を数値化し、閾値を定めることで検査結果(OK/NG)を明確に判定します。
閾値を追い込むことで過検出の抑制に繋がりますが、設定には一定の知識・経験が必要です。
ルールに沿って判定するため、NG判定時に数値的根拠を示すことが可能です。
AIによる外観検査
AIによる画像処理設定は事前の学習データをもとに判定を行います。
ルールベースと異なり閾値が曖昧な検査が可能なため人に近い感覚で検査を実行することが特徴です。
厳格な設定が不要なため初心者でも扱い易い一方で判定ルールの選定、学習に必要な画像の用意、検証に時間を要するなど実際の運用までに
時間やコストが膨らむ可能性があります。
判定ルールの生成方法として「教師あり学習」と「教師なし学習」があります。
教師あり学習は、あらかじめ撮像した画像データに人がOK/NGをラベリングし学習させる方法です。
豊富な画像データと人による正確なラベル付けが必要となります。
教師なし学習は、良品画像データを学習させる方法です。良品から剥離するものをNGとして判定します。
教師あり学習に比べ用意する画像データは数枚で済み、ラベリングも不要ですが、高精度な判定には良質な画像が必要となります。
ルールベース画像処理検査 | AI画像処理検査 | |
判定方法 | 色の濃さや、面積、幅などを数値化し、閾値を設定 して判定 | 事前の学習させたデータに基づき判定 |
メリット | 明確なルールに基づき判定するためNG判定時に 数値的根拠を示すことが可能 | 目視検査(官能検査)に近い、閾値が曖昧な検査ができる |
デメリット | 閾値が曖昧な検査はできない | NG判定時に数値的根拠を示すことができない |
適した検査 | ・寸法など明確な判定ができる ・良品のバラつきがなく、OK/NGの判定が容易 | ・目視では判定できるがルールベースではOK/NGの線引き が難しい場合 ・複雑な形状、多品種等で設定に時間がかかる場合 ・良品のバラつきでNGの想定が難しい製品 |
関連リンク
「エリアカメラ」と「ラインセンサカメラ」
それぞれの特徴とは